加湿について

加湿とは?

一般に空気は、酸素や二酸化炭素、窒素酸化物などで構成されていることは良く知られています。
これらの組成気体の他に、空気中には生物にとってなくてはならない『水分』も含んでいます。
『加湿』とは、意図的にこの空気中の水分を増やすことをいいます。
加湿の目的は人のためや、機械や動植物など人以外のためなどさまざまですが、
特に人に対しては、疾病予防(風邪やインフルエンザ予防など)や健康・美容対策(皮膚の保湿対策など)といった様々な面で、 主に冬場には欠かせない、快適生活を送るための手段といえるでしょう。

相対湿度と温度の関係

『湿度とは、空気中に含まれる水分(水蒸気)の割合や量を表す指標です。
よく目にしたり、聞いたりする湿度の表し方は「%」ですね。これは水分の“割合”を表しており、これを「相対湿度」と呼びます。実はこのほかにも、水分の“量”を表す「絶対湿度」と呼ばれる指標もあるのですが、ここでは主に「相対湿度」について解説していきます。

ある温度の空気中に含める最大限の水分量に比べて、どの程度の水分を含んでいるかを表します。例えば、30℃の空気に含むことができる水分の量を「10」とすると、その半分の量の水分が含まれた状態を「相対湿度50%」といいます。

この空気が、含んでいる水分の量は変わらずに、24℃まで冷えたとします。すると、空気が含むことのできる水分の量は「10」から「7」まで減ってしまいます。 しかし、水分の量「5」は変わらないので、空気と水分の割合は空気「2」に対し水分「5」、つまり、2:5≒3:7で空気中のおおよそ7割が水分の状態、「相対湿度70%」となります。
このように、空気は湿度によって含むことができる水分の量(専門的には「飽和水蒸気量」と呼ばれます)が変わるため、同じ水分の量であっても、温度によって湿度(相対湿度)が変わることに注意が必要です。例えば、同じ相対湿度50%の空気でも、気温30℃と気温10℃の場合を比べると、実際に空気中に含まれる水分の量は、気温10℃の場合1/3以下になっているのです。気温の低い冬場に空気が「乾いている」「乾燥している」と言われるのはこのためです(気温が低いと元々含むことのできる水分の量自体が少なくなる)。
この湿度(特に相対湿度)と温度の関係が『加湿』を行う重要な要因になっています。

湿度が不足すると...

湿度が不足するとどうなるのか?
人であれば健康や美容の面で、機械や動植物であれば帯電による誤作動や
鮮度や品質の低下など、さまざまな問題が発生します。
ここでは特に、人の健康に与える影響についてみていきましょう。

インフルエンザには
湿度対策

冬に空気が乾燥するのは、気温が下がって空気中に含まれる水分が少なくなるからです。さらに厄介なのは、冬場の室内では多くの場合「暖房」を使います。暖房によって、元々水分が少ない空気の温度が上昇すると空気中の水分の割合(つまり相対湿度)がさらに低くなってしまいます。
空気が乾燥するのは洗濯物の部屋干しなどには効果的ですが、健康にはあまりよくない状態です。
特に気をつけたいのは、風邪やインフルエンザといった疾病感染への対策です。インフルエンザの流行時期は年によって変わりますが、11月から3月(いわゆる冬季=乾燥シーズン)は要注意期間といってよいでしょう。

インフルエンザウイルスの
繁殖危険域

厚生労働省が2007年に発表した「インフルエンザの基礎知識」では、「空気が乾燥すると、インフルエンザにかかりやすくなる~(中略)~室内では加湿器などを使って、適度な湿度(50~60%)を保つとよい」とのアドバイスがされています。
また、湿度が高すぎると今度はカビやダニの発生の原因となります。 湿度は低くても、高くても問題が発生してしまうため、適正な湿度を保つのは難しいものです。
そのため、快適な環境を作るためには湿度を一定に保てる加湿器が有効なのです。

加湿器選びのポイント

インフルエンザ予防には適度な湿度(相対湿度)に保つ必要がりますが、相対湿度は温度に影響されます。
つまり、どの程度の大きさ(容積)の部屋を、エアコン等によって室温を何℃に保っているか(場合によって何℃くらいの変動があるか)が加湿量を決める大きな要因となります。

さらに『換気』の問題もあります。昨今多くの建物では換気装置(換気扇など)を使って新鮮な外気と室内空気の交換を行うようになっています。この換気によって室内の水分(水蒸気)の幾らかも室外へ排出されてしまいます。
このように、空気を温める(または冷やす)ことを目的とした暖房や冷房と異なり、加湿はより複雑な室内環境の制御を考えなければ適切な効果は得られません。以下に、加湿を考える場合の重要なポイント(注意点)を示します。

加湿器にはさまざまな「加湿方式」が存在します。
室内の広さ、用途等に適した加湿方式の加湿器を選ぶことが重要です。

できるだけ湿度センサー等により、 湿度管理ができる加湿器を選びましょう。

どのような広さや造りでも加湿できる万能の加湿方法(加湿器等)はありません。
できる限り実際に試してみて(持ち込んで)、思った通りの加湿ができるか確かめましょう。

下図に一般的な加湿器の代表的な加湿方式とその特徴等を示しますので、
加湿器の導入を検討される際は、それぞれの特徴を見比べて、加湿器選びの参考にしてくださいね。

水噴霧式
(高圧スプレー式)
気化式 ヒーター式
(スチーム式)
超音波式
主な原理と
図解
濡れたタオルを
風邪で乾かす状態
やかんでお湯を沸かし
蒸気にする
超音波で水の分子を
細かくして拡散
超音波で水の分子を
細かくして拡散
消費電力
(送風モーター+高圧ポンプ)

(送風モーター+電動ポンプ)

(ヒーター)

(超音波発生装置)
掃除頻度 毎日新しい水を供給すれば
1シーズンに1回程度
月2回程度、掃除が必要 月2回程度、掃除が必要 こまめに掃除したほうが良い
カルキ掃除 ノズルのみ掃除が必要 フィルター交換が必要 本体内部に付着
掃除が必要
不要
本体価格の
目安
運転音
特徴
  • ・加湿能力が最も大きい。(家庭用の10倍程度。)
  • ・広い空間ほど効果大。
  • ・本体が高価であるが、能力に対する価格は安い。
  • ・吹出し口が熱くならないため安全。
  • ・送風のみなので消費電力が少ない。
  • ・加湿力が弱い。
  • ・フィルター交換が必要。
  • ・加湿能力が大きい。
  • ・雑菌の繁殖を防げる。
  • ・電気代がかかる。
  • ・吹出し口、本体内部が熱くなるため、安全性が低い。
  • ・すぐに加湿が始まる。
  • ・少量の水で十分な加湿を行える。
  • ・熱処理ではないため雑菌が繁殖する可能性が高い。